TOEICにまつわる勘違い
- Kaz Hattori
- 2021年4月16日
- 読了時間: 3分

TOEICや英検は日本人の英語能力を測定するために行なわれるもので、日本では資格としても認知されていますが、これらの資格で必要とされる能力について、疑問に思ったことはありませんか?
そもそもTOEICと英検は、日本人が運営する、日本にしかない制度です。つまりどちらも「日本人が作った日本の基準で、日本人の英語能力を測るもの」に過ぎません。日本人が日本人同士で外国語の能力を評価しあっているだけであって、実際のネイティブが話す英語や、ネイティブが持っている感覚などは考慮されていないのです。
また、TOEICや英検で好成績を収めて資格を得たという日本人が、必ずしも英語を話せるわけではありません。この理由はもう説明するまでもなく、TOEICや英検では「英語でコミュニケーションを取るための学習」が求められていない、という一点に尽きます。
実際に弊社CEOも経験していることですが、外資系を含むいろいろな企業での採用面接で、TOEICで高得点を取ったという入社志望者に英語で話しかけてみても、ほとんど受け答えできず話にならなかったという例も珍しくありません。
そして、TOEICも英検も日本独自の資格なので、海外では通用しません。海外の大学や企業に入るために…と考えてどんなに頑張ったところで、海外ではまったく評価されないのです。
英語の、と言うより言語の能力は、読む・書く・聞く・話すのいずれが欠けても、完全とは言えません。つまり、TOEICで高得点を取ったからと言って、ネイティブと不自由なく英語で会話できるようになるわけではありませんし、ましてや海外ビジネスで通用する人材になれるとも限りません。
要するに、英語の能力を総合的に評価する制度としては、TOEICも英検もまったく役に立たないのです。
それに気付きつつ、それでもなおTOEICや英検のための勉強を続ける人もいるでしょう。それは、日本ではTOEICや英検という資格が、社会を渡り歩いていくための「道具」となってしまっているからかも知れません。資格の取得だけを英語学習の目的としている人も多いと思いますが、海外でのビジネスで英語を使う場合や、ネイティブとコミュニケーションを取ることが目的の場合は、資格だけでは不十分です。
一言で「英語の学習」と言っても、学習する人によって事情が異なるので、さまざまな方法や目的があるのは仕方ありません。たまたま就職した会社で、不得意な英語を泣く泣く勉強しなければならない、という人もいるでしょう(それはそれで、そういうことが起きる原因についての議論も必要そうですが)。また、英語の勉強を継続するための動機付けとして、TOEICを利用する人も多いかも知れません。しかし、勉強すること・資格を取ること・試験の点数を達成すること等を目的としてしまうと、英語が本来持っている「言語としての性質」からは離れてしまう危険があります。
英語を使ってコミュニケーションを取れるようになるためには、そうなるための、それなりのふさわしい勉強方法が必要です。そしてそうなるためには、TOEICも英検も、まったく役に立ちません。早い段階でそこに気付き、目的をはっきりさせることができれば、日本の世にはびこる怪しげな「英語学習ビジネス」や「資格ビジネス」に巻き込まれて、時間とお金をムダにすることもなくなるでしょう。
しょせん、日本人が日本人向けに考え出した英語の資格など、海外では通用するはずがありません。単に「テストのための勉強」をしたところで、本当の語学力になるはずがない、ということは知っておくべきでしょう。
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