「ジャスト」な日本語の意味
- Kaz Hattori
- 2021年4月16日
- 読了時間: 3分

日本で使われる「ジャスト」という言葉と、英単語の"just"は、使われる時の感覚がかなり異なります。
「ジャスト」という言葉は、日本では「3時ジャスト」「ジャスト1万円」「ジャストサイズ」「ジャストフィット」など、きっかり・適切な・ちょうどふさわしい、という意味で使われますが、元々の英語の"just"は、そういう感覚では使われていません。
「ジャストサイズ」「ジャストフィット」は和製英語なので、英文で"just size"や"just fit"と書いてもネイティブは理解しませんし、そういう英語表現も存在しません。意味を察してもらったところで、せいぜい「やっとなんとか無理して着られる程度」と解釈されるに過ぎず、いずれにしても本来の意図は伝わりません。
また「ジャスト1万円」のような表現は、日本語だと「1万円きっかりで端数なし」と解釈しますが、英語では意味の受け取り方の感覚が大きく異なります。仮に"just 10000 yen"と表すと「たったの1万円」「ほんの1万円程度」として解釈され、その金額が高いのか安いのか、という話になってしまい、きっかり1万円という意味にはなりません。
同じように、大きな金額に対して「きっかり」と言おうとして"just"を付けると、その大きな金額が「ほんのその程度の金額」という意味で解釈されてしまうので、場合によっては相手に良くない印象を与えかねません。弊社スタッフも実際に経験していますが、英語でのプレゼンや会議の場で、日本人が"just"をこうして誤用する例が多く、そのたびにネイティブが混乱するということも珍しい話ではありません。
日本人同士では問題が起きないから普段は気にならなくても、「元の英語の意味とは違うのだ」ということを知らないと、このようにネイティブとのコミュニケーションで支障をきたすことになるのです。
ちなみに「体に対してちょうどふさわしい」という意味の「ジャスト」を表すには"perfect"、「きっかり」であれば"exactly"でそれぞれ表します。
<例> This shirt fits me perfectly.
このシャツはサイズがぴったりだ。
It came to exactly 10000 yen.
きっかり1万円だった。
そもそも、日本語で「ちょうど」と言う時は、「ちょうど~したところだ」や「ぴったりちょうど良い」などの意味を含んでいます。
英語の"just"も「ちょうど~したところだ」という文脈で使われることがありますが、この時、"just"に「ちょうど」という日本語を当てはめてしまい、「ぴったりちょうど良い」と混同していないでしょうか。
「ちょうど~したところだ」を言い換えて「まさに~したところだ」や「たった今~したところだ」と解釈すれば、「ちょうど」という言葉を使わなくても同じ内容を言い表すことができます。つまり、日本で"just"が「きっかり・適切な・ちょうどふさわしい」として誤解されているのは、"just"を「ちょうど」と捉えてしまい、本来の"just"の感覚から離れてしまったことが原因なのかも知れません。
外国語を日本語で解釈する時は、このようにちょっとした言い換えを頼りにして、適切な感覚を知るための作業が必要です。もっと言うと、日本語の性質を知らなければ、外国語をきちんと身につけることはできません。
英単語を覚える時も、単語の意味を日本語に当てはめて記憶するだけの方法では、ネイティブがどういう感覚でその単語を使うのかは理解できません。単に日本語に置き換えるだけでは、「日本人の感覚」が挟まることで障害となってしまい、本当はどういう意味なのかがわからなくなってしまうからです。
外国語を学ぶということは、書いてある文字を覚えることではなく、それを使うネイティブの感覚を学ぶということ、とも言えます。英和辞典に載っている訳語をそのまま鵜呑みにせず、英英辞典を使って、本来の意味や感覚を確認することをおすすめします。
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