ローマ字の弊害
- Aya Osugi
- Sep 4, 2021
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先日、社内の英語ネイティブのスタッフと話していて、英語の文章の中に含まれている日本の地名や商品名が読めてないことに気づきました。スタッフは日本語もできるのですが、話を聞いてみると、ローマ字を習ったことはないとのことでした。外国の人にも読めるようにとローマ字で記載していても、まったく役に立っていなかったのです。
考えてみれば、日本では英語を学ぶ前に、ローマ字を習います。アルファベットの組み合わせをどう読むのか、この時初めて知ることになるのです。ローマ字読みは日本語の表現方法の一つとして、ひらがなやカタカナと同じように浸透しています。そのため知らないアルファベットの羅列を見たときに、日本人ならついローマ字読みで呼んでしまうのではないでしょうか。学生のころ、「orange」の綴りを「おらんげ」、「Wednesday」を「うぇどねすだい」をと覚えたように。
日本の地名、社名などを外国の人でも読めるようにと、ローマ字で記載するのはもはや一般的となっています。オリンピックのために海外の人も読めるようにと、様々な看板や表示がローマ字でも記載されているようになりました。私たちは無意識に英語のアルファベットで書いてあるのだから、ローマ字で書けば英語圏の人も同じように読んでくれると思っていないでしょうか。「Fukushima」や「Meidaimae」はどう読めると思いますか?日本の企業の英語版のウェブサイトを見ていても、大事な社名や商品名をローマ字読みのまま記載していて、間違って読ませていることに気づいていないことがたくさんあります。
ローマ字のルールは英語のルールとは異なっています。英語圏の人からはローマ字読みの日本語は読めないのです。英語圏出身の日本語学習者が、日本語を学習するためにまずローマ字読みというのを覚える必要があることからも、ローマ字のルールが英語とは違うことが明らかです。例えば、ローマ字では「a」は必ず「あ」、「f」は「ふ」、「n」は「ん」、と読みますが、英語ではそうではありません。
日本語は基本的に子音と母音の組み合わせの音しかなく、母音も5種類しかありません。そのため、ローマ字表記は日本語の音を表せるようになっています。ローマ字では、しかし、英語は母音の種類も多く、子音だけの音もあり、書いてあるスペルと読み方が異なっていて、アクセントの位置も大事な言語です。英語のルールを学ぶことなく、ローマ字と同じように英語を学習しているため、多くの日本人が英語を正しく発音できません。すべてを暗記するという無謀な勉強法を続けています。ローマ字読みは英語学習には何の意味もないどころか、英語学習への弊害となっているでしょう。また、海外向けのメッセージには、日本でしか通用しないローマ字ではなく、きちんとした英語での表記が必要です。
グローバライズコンサルティング合同会社では、英語ネイティブで日本語とのバイリンガルでもあるプロのコンサルタントが、英語圏での実際の感覚や、文化・習慣の違いを踏まえて、海外事業やローカライズに関するさまざまなサポーを提供しています。お気軽にお問い合わせください。
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