英語と日本語の違い①
- Kaz Hattori
- 2021年4月16日
- 読了時間: 2分

英語を学習していて、こんな表現に出会ったことがある方も多いかと思います。
例)
A: We don't have an NDA, right?
B: No.
(NDA=秘密保持契約書)
「付加疑問文」や「否定疑問文」は学校の英語の授業でも教わりますが、この「否定疑問文」は実際の会話ではかなり頻繁に使われる表現です。そして日本人の英語学習者にとって、おそらく最もややこしい内容の一つかもしれません。
上に例文を挙げましたが、ここで注目したいのは、この"right?"は実際には疑問文として機能しているわけではなく、単に念を押すためだけの存在に過ぎないという点です。
上の会話でのAさんのセリフは、意味としては"Do we have an NDA?"なのですが、この言い方は堅苦しい印象を与えることもあって、疑問文の形にはせず、否定文に"right?"を付け加えるこの表現の方が、気軽なコミュニケーションの場では自然な言い方として好まれる傾向があります。
しかしここが落とし穴なのですが、この"right?"には「だよね?」という程度の意味しかないので、"right?"だけに反応して受け答えをしてはいけません。
この"right?"に対して"Yes."と答えてしまうと、それは"Yes, you're right. We don't have an NDA."という意味となってしまいます。本来の疑問であった"Do we have an NDA?"に対する答えが"No."なので、これではYesとNoが混在し、相手が混乱してしまいます。
日本語の感覚では、「NDAはありませんよね?」のような否定文で問いかけられて、「無い」と答えたい場合、「はい(ありません)」と受け答えることができます。しかし英語では、この「はい」は"Yes"ではなく、"No"でなければなりません。なぜなら、上の例文のBさんのように、「No, we don't have an NDA.」のように否定文として受け答えなければならないからです。
日本語に慣れきっているとうっかりしてしまいそうですが、英語ではこの感覚を切り替えなくてはなりません。日本語の感覚のままでいると、会話が不自然になってしまうだけではなく、意図した内容が伝わらず、相手を混乱させたり、誤解を与えたりしてしまいます。
外国語でコミュニケーションを取る時に重要なのは、単語をたくさん知っていることではありません。
言葉とは、文化を映し出す鏡のような存在です。誤解のないコミュニケーションのためには、その言葉の向こう側にある文化や習慣を考慮しなくてはなりません。
このような例はまだ他にもたくさんあるはずです。外国人従業員とのコミュニケーションや、海外ビジネスでのネイティブとのやり取りでお困りのことがあれば、お気軽にお問い合わせください。
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